生き恥

日記

作り話。

コップに注いだ麦茶は気づけば生ぬるくなっていて、飲めたもんじゃない。僕は人生であと何回飲み干せなかったそれを台所のシンクに無感情で捨てるんだろうか。

外の世界ではとある伝染病が流行っているけれど、どこか他人事な気がして、芸能人のゴシップを流し観るくらいの軽さで今日の感染発覚者数を眺めることしかできない。

伸びきった爪先で弾くようにフリック入力をする日々。熱を持ったスマートフォンは人肌のぬくもり以上に安心を与えてくれる。でも所詮は画面上のやりとりに過ぎなくて、得体の知れない焦燥感に駆られる。

幸せの絶頂と、孤独からくる絶望はとてもよく似ている。ように感じる。どちらもその真っ只中で、実はもう全てが廃れてしまっていて、真っ暗なクモの巣だらけの空き家でブツブツと独り言を言いながら虚空を見つめている小汚ない老人が本来の僕なのかもしれない。

こんな空想に耽ってはせり上がってくる胃液だけが常に真実だ。

そういえば、むかし「君は誰のことも信用していないし、好きじゃないから生きていけるんだろうね。人を馬鹿にするのも大概にしろよ。」と言われたことがある。目を真っ赤に充血させ、はっきりとした憎悪を全身全霊で僕へ向けて。それが一体誰だったのか、今となっては全く思い出すことが出来ないのだが、きっとあの人は僕のそういう所が嫌いで仕方なかったんだろうな。






じゃあね。